渋谷365メンタルクリニック
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2023.06.14診断書について

こころに不調を感じて休職の検討が必要になったとき、会社から、”診断書”を提出するように言われることがあります。
しかし、診断書にかかる料金やもらい方など不明な点も多く、いきなり必要と言われたら焦ってしまう人も多いでしょう。

こちらでは、診断書のもらい方や休職の手続きの流れについて、わかりやすく解説していきます。

診断書とは?

診断書とは、医師により患者の病名、症状、治療内容などが記された公的な書類です。
医師法19条により、患者から要求があった場合、診察を担当した医師が診断書を交付するよう定められています。

診断書をもらう際に発生する料金や、診断書に記載される内容について記載します。

診断書の料金

診断書をもらう際にかかる料金は、基本的に自費診療による全額自己負担です。

稀な例外として、診断書の料金が自己負担ではなく、労災保険*の負担となるケースもあります。
*当院では労災保険は扱っておりません

ただし、一般的にメンタル不調による休職では、病気の原因となるストレスが仕事によるものなのか私生活によるものなのか慎重に判断する必要があり、労働災害と認められにくい傾向があります。

診断書に記載される内容

診断書に記載される内容は、患者情報(氏名や生年月日、住所など)、病名、日時(受診日、発症日、治療見込みの期間など)、治療内容、症状の経過や検査結果などで、用途によって必要な項目を追加したり、不要な項目を省略したりして作成します。

休職を伴う診断書では、医師の判断による休職期間の指示と合わせて、職場環境の調整の指示などを適宜追記します。

休職の検討が必要になったときの診断書のもらい方

次に、休職の検討が必要になったときの診断書のもらい方について解説していきます。

診断書は、早ければ即日発行されることもありますが、病院の規模や症状によっては当日に発行できないこともあるため注意が必要です。

ここでは、「うつ病」「適応障害」「発達障害」の3つの病気に分け、それぞれの病気に適した診断書のもらい方、および診断書がもらえないケースについて紹介していきます。

うつ病の場合の診断書のもらい方

うつ病で診断書をもらいたい場合は、まず心療内科や精神科などへ、現在悩んでいる症状について詳しく説明していただきます。

具体的なこころの不調(やる気が起きない、疲労感が強いなど)と、からだの不調(眠れない、食欲がないなど)をお伝えください。
その際、いつから症状に悩まされているのか、どんなときに症状が出やすいのかなど、詳細に説明をいただけるとスムーズです。

うつ病により休職が必要と診断した場合、必要事項が記載された診断書を発行します。

適応障害の場合のもらい方

適応障害で診断書をもらう場合も、うつ病の場合と同様、まず心療内科や精神科などへ相談します。

適応障害は、多くの場合、ストレスの要因がはっきりしているのが特徴です。
そのため、現在悩まされているからだやこころの不調と合わせて、ストレス要因についても具体的にお伝えください。

適応障害により休職が必要と診断した場合、必要事項が記載された診断書を発行します。
ストレス要因から離れるために職場環境の調整が必要と診断した場合に、合わせて診断書に記載します。

発達障害の場合のもらい方

発達障害による休職は、うつ病や不安障害などの二次障害がきっかけとなるケースも少なくありません。
医師が職場環境の調整が必要と判断することも多いため、必要に応じて診断書に記載します。

診断書がもらえないケース

診断書は依頼をうければ必ず発行できるわけではなく、医師の判断により発行できないケースもあります。

診断書が発行できないケースとしては、

  • 診断時に症状が見られず診断を確定できない場合
  • 診断を確定するのに観察期間を要する場合
  • 担当医師の専門外のため診断ができない場合
  • 通院を途中で自己判断でやめてしまった場合
  • 受診前の状況ついて、証明したい場合(傷病手当金や、各種保険などにて、受診以降のことしか書いてもらえないことが多いので、早めに通院はしておいた方がいいかもしれません)

などがあげられます。

休職の際の手続きの5ステップ

つづいて、休職の際の手続きについてです。
  • 就業規則を確認する
  • 診断書をもらう
  • 会社に書類を提出し、面談を行う
  • 傷病手当金の申請について確認する
  • 休職中の連絡方法を話し合う

の5ステップに分かれるのが一般的です。
休職の手続きの流れを具体的に知りたい方は、参考にしてください。

就業規則を確認する

休職の検討が必要と思ったら、まず就業規則を確認することから始めましょう。
会社によっては休職自体が認められないこともあるため、注意が必要です。

休職を検討する場合に確認すべき就業規則の項目は、以下のとおりです。

  • 休職届について
  • 休職可能期間について
  • 給料の有無について
  • 社会保険料の支払いについて
  • 休職期間満了後の対応について

上記の項目は、後々トラブルになってしまうことを避けるためにも、就業規則でしっかり確認しておくことが重要です。

休職届について

休職の申請をするときは、多くの会社で、人事部や総務部、労務部へ「休職届」の提出が必要です。
休職届で記載が必要な項目は、休職期間や休職理由、休職中の連絡先などです。

休職届は、会社によって決められたフォーマットが用意されていることもあるため、就業規則で確認してみてください。
会社で用意されていない場合は、web上でフォーマットをダウンロードして使用する場合もあります。

休職可能期間について

就業規則では休職可能期間についても定められていることがあるため、あらかじめ確認しておきましょう。

約9割の会社が病気休業制度(従業員が私傷病時に利用できる連続して1カ月以上の休暇・休職・休業する制度)を設けており、一般的な休職可能期間は、3カ月〜3年です。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構による2013年11月の「メンタルヘルス、私傷病などの治療と職業生活の両立支援に関する調査」では、企業全体の75%が休職期間を「2年まで」とし、なかでも「半年から1年」としている企業が22.3%と最多になっています。

なお、休職可能期間は就業者の勤続年数によって左右されることも多いため、こちらについても就業規則で確認しておくことをおすすめします。

給料の有無について

給料が支給されるかどうかも、休職するにあたっての心配事のひとつでしょう。

結論から言うと、企業に休職期間中の給料の支払い義務はなく、原則無給となります。
企業によっては、一定の割合分の支給が定められているケースもあるため、就業規則をよく確認してみましょう。

なお、社会保険(厚生年金のみ、国民年金は不可)に加入している場合は、休職中に「傷病手当金」を受け取れます。(受けれないこともあるので、詳細はご自身の入っている健康保険にご確認ください)
詳細については後述します。

社会保険料の支払いについて

休職中であっても、社会保険料の支払いは免除されないため、注意が必要です。
傷病手当金から差し引く、会社が立て替えをする、従業員から毎月送金をしてもらうなど就業規則に則った方法で徴収することになります。

休職期間満了後の対応について

休職期間満了後の対応についても、就業規則をしっかり確認しておく必要があります。

症状が順調に回復していれば、主治医と企業側から就業可能と判断されることで「復職」という流れになりますが、症状が思うように回復できていないこともあるかもしれません。

休職可能期間の上限を大幅に超えない範囲で復帰の目処が立っている場合は、休職を延長できる旨が就業規則に規定されていることがあります。
また、復帰の目処が立たない場合、退職または解雇となる旨が就業規則に規定されていることもあります。(「⚪︎ヶ月以内に復職できなければ退職してください」などと会社から言われるケースが実際に散見されます。)

休職期間満了後、順調に症状が落ち着いているとは限りません。
そうなったときに慌ててしまわないよう、休職期間満了後の対応についてもあらかじめ確認しておくことをおすすめします。

診断書をもらう

就業規則を確認したら、次に医師に診断書の打診をしてください。

診断書は病名や治療内容、休職期間の指示など、休職に必要な項目を記載し、職場環境の調整が必要であれば、その旨も記載します。

会社に書類を提出し、面談を行う

医師から診断書を受け取ったら、休職届と合わせて会社へ提出しましょう。
休職に関する書類は直属の上司に提出し、その後、人事担当者との面談が行われ、休職の手続きを進めていくのが一般的な流れです。

傷病手当金の申請について確認する

社会保険に加入している場合は、最長1年6カ月まで、給与の約3分の2分の傷病手当金が保証されています。

傷病手当金の申請には、医師と会社からの証明が必要です。
そのため、傷病手当金の申請についても休職に入る前に確認しておくと安心でしょう。
傷病手当金は会社を休み始めた日の翌日から2年以内に申請しないと時効になってしまうため、早めに申請しておくのが良いかと思います。

休職中の連絡方法を話し合う

休職中は会社と定期的に連絡をとり、回復状況を共有する必要があります。

休職中の連絡は、休職者の復職に向けてのプランを作成するうえで、会社にとって非常に重要です。
一方で、正しい配慮がされないことで休職者にとっては大きな負担となってしまう危険もあります。

連絡の窓口は誰なのか(上司、同僚、人事担当など)、連絡手段は電話なのかメールなのか、連絡の頻度はどのくらいかなど、具体的に話し合っておくことが大切です。

まとめ

こころに不調を感じて休職が必要と思ったら、まず就業規則を確認し、休職可能期間や給与の有無などの必要な項目をチェックしておくことが大切です。
休職に必要な診断書は、医師に依頼をしたら必ずすぐにもらえるものではありません。
お悩みであれば、まずは当クリニックにご相談ください。