特徴
この状態の子どもは、「恥ずかしがり屋」「無口な子」と誤解されやすいですが、実際は強い不安や緊張で体がかたまり、声が出なくなっています。
誰とも話せない子もいれば、特定の先生や友だちとは少し話せる場合もあります。また、学校では話せないけれど、習い事では話せることもあります。
緊張が高まりすぎると、体を動かすこともむずかしくなる「緘動(かんどう)」という状態になることもあります。

どんな人がなりやすいの?

主に3〜10歳ごろに見られます。まじめで静か、まわりの様子をよく見る子どもに多いと言われています。
人と話すときに「失敗したらどうしよう」と考えすぎたり、音や視線に敏感だったりすることもあります。
家では元気にしゃべることができるため、大人が気づきにくいこともあり、「学校で様子がちがう」と言われて初めて分かるケースもあります。
不登校になる前に気づくことがとても大切です。
どうしたらいいの?
まず大事なのは、「どうして話さないの?」と責めたり、「がんばって話してごらん」と無理に話させたりしないことです。話せないのはその子のせいではなく、不安が強すぎるためです。
できることはたくさんあります。たとえば、家庭では「声が出なくても大丈夫だよ」と伝えて安心させ、学校では筆談やジェスチャー、カードなどで気持ちを伝える方法を取り入れると良いです。
必要に応じて、スクールカウンセラーや医療機関にも相談しながら、少しずつ慣れていけるように支えていくことが大切です。

まとめ

場面緘黙は、「話さない」のではなく、「話したいのに話せない」状態です。
本人は一生けん命がんばっていますが、不安が大きくなりすぎて声が出せなくなっているのです。
大人があたたかく見守り、「話せなくてもいいよ」「ここにいてくれるだけで大丈夫」と安心できる環境をつくることが、何よりも大切です。
焦らず、その子のペースで一歩ずつ歩んでいけば、少しずつ声が出せるようになることもあります。あなたはひとりではありません。