拒食症(摂食障害)とは

拒食症とは、食べる量を極端に減らし、無理にやせようとする病気です。医学的には「神経性やせ症」と呼ばれる摂食障害の一つです。
多くの人は「少しやせたい」と思うことがありますが、拒食症の人は「どれだけやせてもまだ足りない」と感じます。
体がとても細くなっても、自分では「太っている」と思い込んでしまうことがあります。その結果、必要な栄養をとることができず、体が弱ってしまいます。
拒食症は単なるダイエットとは違い、「もっとやせたい」という気持ちが止まらなくなることが特徴です。
症状が進むと、体のさまざまな機能に影響を与え、最悪の場合、命に関わることもあります。
そのため、早めの対処がとても大切です。
特徴
拒食症には、いくつかのはっきりとした特徴があります。
1. 食べる量を極端に減らす
普通のダイエットでは、健康を考えながら少しずつ食事を調整しますが、拒食症の人はほとんど食べなくなることがあります。
野菜や水だけで生活することもあり、栄養が不足します。
2. 「やせすぎ」に気づかない
鏡を見ても「まだ太っている」と感じてしまうため、どんなにやせても満足できません。
家族や友人が「やせすぎだよ」と心配しても、自分ではそう思えないことが多いです。
3. 体への影響が大きい
体重が大幅に減ると、以下のような症状が現れます。
- いつも寒く感じる(手足が冷たくなる)
- 髪の毛が抜けやすくなる
- 疲れやすくなり、動くのがつらくなる
- 女の子の場合、生理が止まることがある
- 骨がもろくなり、骨折しやすくなる
4. 食べ物に対する興味は強いこともある
食欲がなくなるわけではなく、むしろ食べ物のことをよく考えるようになることがあります。
中には、ある日突然たくさん食べてしまう(過食)ことを繰り返す人もいます。

どんな人がなりやすいの?
拒食症は、誰にでも起こる可能性がありますが、特に次のような人が注意が必要です。
完璧主義の人
勉強やスポーツで「もっと頑張らなければ」と思うタイプの人は、ダイエットも極端にやりすぎることがあります。
自分に厳しい人
「もっと細くならないとダメだ」「少しでも太るのは許せない」と思い込んでしまうことがあります。

まわりの目を気にしすぎる人
SNSやテレビで「細い人がきれい」と言われているのを見ると、「私ももっとやせないと」と思うことがあります。
ストレスを感じやすい人
家庭や学校での悩みがあると、「せめて自分の体型だけはコントロールしたい」と思い、食事を制限してしまうことがあります。
拒食症は特に思春期の女の子に多いですが、男の子や大人でもかかることがあります。
どうしたらいいの?
拒食症を治すためには、早めに気づき、周囲の人の助けを借りることがとても大切です。
1. 「もしかして?」と思ったら、誰かに相談する
自分では「まだ大丈夫」と思っていても、家族や友達は「ちょっとおかしいかも」と気づいていることがあります。まずは、信頼できる人(親、先生、保健の先生など)に相談してみましょう。
2. 専門家のサポートを受ける
拒食症は「気のせい」ではなく、治療が必要な病気です。病院の先生やカウンセラーに相談すれば、どうすればよいか具体的に教えてくれます。
3. 食べることへのプレッシャーを減らす
「とにかく食べないとダメ!」と言われると、逆にプレッシャーを感じることがあります。少しずつ食べる量を増やし、無理なく元の生活に戻れるようにしましょう。
4. ストレスをためない工夫をする
ダイエットにのめり込んでしまう背景には、何か別の悩みがあることもあります。運動や趣味を楽しんだり、話を聞いてもらうことで気持ちが軽くなることがあります。

まとめ
拒食症は、食べる量を極端に減らし、やせすぎても「まだ足りない」と感じてしまう病気です。
体への影響が大きく、放っておくと命に関わることもあります。
特に完璧主義やストレスを感じやすい人は注意が必要です。
「少し食べる量を減らしているだけ」と思っていても、周りから「やせすぎじゃない?」と言われたら、一度立ち止まって考えてみてください。
もし心配なことがあれば、家族や友人、学校の先生に相談しましょう。
拒食症は、適切な治療を受ければ回復できる病気です。早めに気づき、サポートを受けることが大切です。