パニック障害とは

パニック障害とは、突然強い不安や動悸(どうき)、息苦しさが現れ、「このまま倒れてしまうのではないか」と感じる病気です。このような症状を「パニック発作」といい、何の前触れもなく起こることが特徴です。
例えば、「電車に乗っていると急に心臓がドキドキして息が苦しくなった」「テスト中に急に気分が悪くなった」というように、特定の理由がなく発作が起こることがあります。一度発作を経験すると、「また起こるのでは?」と心配になり、外出を控えるようになることもあります。
適切な治療を受ければ、症状をコントロールしながら普段どおりの生活を送ることができます。
特徴
パニック障害の特徴は、次の3つです。
1. 突然のパニック発作
心臓が激しく鼓動する(動悸)
息苦しくなる、胸が締めつけられる感じがする
手足がしびれる、冷や汗が出る
「このまま倒れてしまうのでは」と強い不安を感じる
2. 発作がまた起こるのではと不安になる(予期不安)
一度発作を経験すると、「また発作が起こるかもしれない」と不安になり、日常生活に影響が出ることがあります。
3. 発作が起こりそうな場所を避ける(広場恐怖)
「電車の中で発作が起きたらどうしよう」「人混みで倒れたら恥ずかしい」と考え、外出や人が多い場所を避けるようになることがあります。

どんな人がなりやすいの?
パニック障害は、誰にでも起こる可能性がありますが、特に次のような人はなりやすいといわれています。
ストレスを感じやすい人
受験や部活のプレッシャーが強い人、責任感のある人は、知らないうちに心に負担をかけていることがあります。
まじめで完璧主義な人
「絶対にミスをしてはいけない」と強く思う人ほど、緊張しやすく、発作が起こりやすいことがあります。
環境が大きく変わった人
進学や引っ越しなど、環境の変化が大きいと心が不安定になり、症状が出やすくなることがあります。

発作が起きたときの対処法
1. 「発作は一時的なもの」と意識する
パニック発作は、数分から数十分で自然におさまります。「必ずおさまる」と心の中で唱えることで、少しずつ落ち着くことができます。
2. ゆっくり深呼吸をする
息が苦しくなると、つい早く呼吸しがちですが、意識的に「4秒かけて吸って、4秒かけて吐く」ことを繰り返すと落ち着きやすくなります。
3. 体の力を抜く
緊張すると体がこわばります。肩を下げたり、手を軽く開いたりすることで、体の力を抜きましょう。

日常生活で気をつけること
1. 生活リズムを整える
寝不足や疲れがたまると、発作が起こりやすくなります。規則正しい生活を心がけましょう。
2. ストレスをためすぎない
楽しいことをする時間をつくったり、軽い運動を取り入れたりして、心の負担を軽くすることが大切です。
3. 不安を話せる人を見つける
家族や友人に「最近、不安になることがある」と話すだけでも気持ちが軽くなります。
4. 専門家に相談する
症状が続く場合は、心療内科や精神科を受診しましょう。治療には、抗うつ薬や抗不安薬の服用、認知行動療法(不安に慣れるためのトレーニング)などが効果的です。
まとめ
パニック障害は、突然の強い不安と体の症状が現れ、「また発作が起こるのでは」と不安になってしまう病気です。しかし、パニック発作は必ずおさまり、治療をすれば改善が期待できます。
もし不安を感じたら、「発作は一時的なもの」と意識し、深呼吸をして落ち着く練習をしましょう。そして、一人で抱え込まず、家族や友人、医師に相談することが大切です。焦らず、少しずつできることを増やしていけば、きっと良い方向に進んでいきます。