離人症とは
離人症とは、「自分が自分でないように感じる」「現実がどこか遠く感じる」などの 違和感 が続く状態を指します。
たとえば、次のような感覚を持つことがあります。
- 鏡を見ても、自分の顔が他人のように感じる
- 何をしていても、自分が映画の登場人物のように思える
- 友達と話していても、どこか遠くの出来事のように感じる
- 周りの景色がぼんやりとしていて、現実感がない
多くの人が 一時的にこのような感覚を経験すること があります。たとえば、 寝不足のときや、強いストレスを感じたときなどです。しかし、この状態が 長く続く場合や、日常生活に支障をきたす場合は、離人症という精神的な症状として捉えられます。
離人症は 脳がストレスから自分を守るための「防衛反応」 として起こることが多く、適切な対処をすれば和らげることができます。
特徴
離人症の主な特徴は、以下のようなものです。
1. 現実感が薄れる（離人感）
「世界が遠くに感じる」「現実がぼんやりしている」「まるで夢の中にいるような感覚がする」
2. 自分が自分でない感じがする（自己感の変化）
「自分が話しているのに、誰か他の人が話しているように感じる」
「手を動かしているのに、それが自分の手ではないように思える」
3. 感情が鈍くなる
「嬉しいことや悲しいことがあっても、あまり気持ちが動かない」
「まわりの人と会話していても、心の距離を感じる」
これらの症状が一時的なものであれば、特に問題ありません。
しかし長期間続いたり、日常生活に支障をきたしたりする場合は、専門的なケアが必要です。
どんな人がなりやすいの？
離人症になりやすいのは、次のような人です。
強いストレスを抱えている人
仕事や学校、人間関係でプレッシャーが大きいと、脳が「現実から離れよう」として症状を引き起こすことがあります。
うつ病や不安障害がある人
離人症は、うつ病や不安障害と一緒に現れることがよくあります。
過去にトラウマを経験した人
いじめ、事故、災害など、強いショックを受けた人は、心を守るために「現実感を薄くする」ことがあります。
睡眠不足や過労が続いている人
睡眠不足や疲れがたまると、脳の働きが鈍くなり、離人症の症状が出やすくなります。
どうしたらいいの？
離人症の症状を和らげるためには、次のような方法が有効です。
① 生活リズムを整える
- 睡眠をしっかりとる（毎日同じ時間に寝る・起きる習慣をつける）
- 食事をバランスよくとる（栄養不足が原因で悪化することもある）
- 適度な運動をする（ウォーキングや軽いストレッチが効果的）
② 離人感を気にしすぎない
- 「この感覚は脳の防御反応だ」と理解する
- 「このままずっと続くわけではない」と自分に言い聞かせる
③ 五感を刺激する
- 冷たい水で顔を洗う
- 自分の手をマッサージする
- 香りの強いもの（アロマやミント）をかぐ
これらの方法で、現実感を少しずつ取り戻すことができます。
④ 誰かに相談する
- 家族や友達、先生に話す（話すだけで気持ちが軽くなることもある）
- カウンセラーや精神科医に相談する（長引く場合は専門家の助けを借りることが大切）
また、 認知行動療法（CBT） という治療法が、離人症の改善に有効であることがわかっています。
これは、離人感に対する考え方を変えたり、リラックスする方法を学んだりすることで、症状を軽くする治療法です。
まとめ
離人症は、「自分が自分でないように感じる」「現実が遠く感じる」といった症状が続く状態です。
ストレスや疲れ、不安が原因となることが多いですが、適切な対処をすれば改善します。
大切なのは、 「この症状は一生続くわけではない」 ということを理解すること。
「焦らず、ゆっくりと。自分を大切にすることが、回復への第一歩です。」